最近モカ姉さんと散歩に行くようになった大きな公園、
実はとっても気がかりなことがひとつありました。
そこには一匹の捨て犬が暮らしていたのです。
ボーダーコリー風の賢そうな顔に引き締まった身体、
まだ若い雄の大きい中型犬です。
いつも公園の大きな木の下で遠い目をしてじっと座っていました。
白と黒の大きなブチ模様、白い毛はまだまだ綺麗で
首輪がないことを除けば、飼い主さんがフリーで遊ばせている犬と
区別がつきません。
同じく大きめ中型犬のモカ姉さんが気に入ったのか
散歩に行くといつもモカ姉さんに挨拶に来てくれます。
おとなしくて危険な感じはしませんが、
人間に不信感があるのか触らせてはくれません。
一度だけ「遊ぼうよ~!」と私がさし出した手に
ペロッと挨拶してくれたときがあって、
その暖かさが寒い季節の中でなんだかとても悲しく感じました。
「お正月明けくらいから姿を見るようになりました。
元気なのに自力で帰らないことを考えると、
きっと遠くからこの公園に捨てに来たのでしょう。
彼は公園から離れずにじっと飼い主さんを待っているのですよ」と
毎日愛犬と散歩に来ている方達からお聞きしました。
彼の瞳にはいつも懐かしい飼い主さんの姿が映っていたに違いありません。
いつしか毎日公園に散歩に来る犬好きの人たちは彼を「ウシ君」と呼び
保護して引き取りたいと申し出る人が現れたと聞きました。
公園の事務所に首輪とリードを預け、保護できたら必ず連絡をくださいと
お願いしていたそうです。
そんな話がいつしか広まり、ウシ君の保護に協力する人達が現れました。
しかし警戒心の強いウシ君、食べ物をあげても上手に食べてスルリと逃げていきます。
そしてなかなか保護できないまま時間が経過していきました。
10日ほど前に公園を訪れたときには、保護に協力している男性が
「今までがんばっていたのですがまた逃げられてしまいました。
桜の名所のこの公園では花見が始まったらきっと保健所に通報されてしまう。
なんとかその前に保護したいと思っているのですが・・・」と焦っておられました。
そして昨日、およそ1週間ぶりに訪れた公園は気温が低いせいか人もまばら。
いつも遊んでいるわんこさん達もおらず、ウシ君の姿も見えません。
あちこちキョロキョロ探しながら公園を1周したところで、
顔見知りの工事現場のガードマンさんを発見し、
「あの野良犬を知りませんか?」と聞いてみたら・・・
なんと数日前に保護に成功し、
里親希望の方が連れ帰ったとのことでした~♪
「毎日散歩に来る黒い中型犬の飼い主さんが引き取りました。
ウシ君と黒い犬の仲が良かったんです。
家に慣れるまでは公園には来ないと言ってましたが、
きっとすぐに馴れて2匹で散歩に来ますよ」と
そのガードマンさんは教えてくれました。
ウシ君はもう食べるものに困ることもないし、
寒さに震えながら眠ることもなくなりました。
淋しそうな瞳には優しい飼い主さんの姿が映り、
傍らには仲間のわんこがいつも一緒にいるのです。
昔のことは早く忘れて、今度はモカ姉さんと一緒に遊んでね~ウシ君!!
それにしても何の力にもなれなかった私・・・。
今回は里親希望者さんが現れたから良かったけれど、
マンション暮らしの我家では、大きな犬の保護はちょっと無理。
嬉しいけど複雑な心境の帰り道でした。
※写真はウシ君のいた広場で残り香(?)を嗅ぐモカ姉さん。
ちょうどこぶしの花が満開で、
彼の新しいスタートをお祝いしているようでした♪